8/14(土)定年女子カフェのレポート

カフェ内のプチイベントはとくいなタイム
定年女子はみんな、何か得意なことや知見を持っている。
「とくいなタイム」は、定年女子の得意なコトをちょこっと教えてもらう時間です。

◆今回のテーマ :地域デビュー、ボランティアデビューを考えてみよう
◆とくいニスト:疋田奈緒美さん(縁’s Project)
◆開催時間=14:00~16:00
◆参加費 500円

 
8月のプチイベント、とくいなタイムは、1週間前に定員に達して〆切になりました。が、前日から微熱や体調不良などで複数の方から参加辞退の連絡が相次ぎました。コロナ感染拡大が大変な状況になっているこの時期ですから、当然のこと。ご辞退してくださってよかったと思います。

実は、カフェオープンについては、2週間前から相当迷い、プチイベントでお話してくれる予定の疋田 奈緒美さんとも相談してきました。検討の結果、たとえ人数が少なくなっても顔を見ながらのお話を、ということになり、予定通りオープンしたのです。

結果的には、プチイベント参加以外の来店者はなし。とくいなタイムは、来店者3名と私の4人だけで、お話をしてくれた疋田さんを囲むことになりました。広いカフェで、窓を開けっぱなしにして。
☆☆☆
 

8月のとくいニスト、疋田奈緒美さんは、2015年春にほぼ36年間に亘る会社員生活を定年数年前に辞めました。その間に、結婚、出産退職、再就職、転職、を経ています。辞めた理由は、色々な意味でエネルギーが枯渇してしまったからとのこと。そこから、それまで全く縁のなかった地元、地域とのつながりづくりを考え始め、「縁’s Project」の活動を始めました。

疋田さんが伝えたいことは、定年を考え始める時は、ボランティア活動や地域でのつながりも考えてみるとよいのでは?ということ。

疋田さんは実は会社を辞めてから、本当は働こう(=勤めよう)と思っていたこと、仕事はなかなか見つからなかったこと、たまたまみつかった短期の仕事の更新のタイミングで続けようとは思えなかったこと、などを経て、地域デビューを考え始めました。地域でのつながりが大事だろうと思ったからです。

しかし、町内会などに実際に出てみると、古い体質になかなか馴染めず、そこで頑張っていこうとは思えなかったそうです。その結果、地域でのつながりは自ら作ろうと考えるようになり、現在は地元(神奈川県横浜市)で「つながるカフェ」を毎月開くようになりました。

「つながるカフェ in 上大岡」は、当初はケアラーズカフェとして開きました。はじめは、介護者が少しでも気楽におしゃべりできる場を、と考えていた疋田さんでしたが、そのうち、まずはさまざまな人が気軽に来てくれることからだと思うようになり、ケアラーズカフェという名を外したそうです。情報交換、学び合う、そしてゆるやかにつながる場にしていきたいと、今も続けています。

よくよく話を聞いてみると、疋田さんは現役の会社員時代から、産業カウンセラーをはじめ、いろんな学びをしていました。学びは、会社を辞めてからも心理学やその周辺、認知症予防の各種プログラムなどなど、次々にとても多くの学びを継続していました。学ぶのは、興味があるから、楽しいから、学ぶそうですが、その結果「伝えたい!」と思うようになっていったようです。

疋田さんは街のアドバイザーやストレスチェック協会のファシリテーター、として、シナプソロジーのインストラクター等々、いろいろなところでこれまで学んだことを伝える活動をしています。時に依頼を受け、時に公開講座で、あるいは中小企業の集まりなど、さまざまな場所を見つけてお話をしています。

疋田さんの「伝えたい!」という気持ちには、強いエネルギーを感じました。この気持ちが、疋田さんを動かしているのでしょう。

一方で、疋田さんは国際交流を目的にしたNPOに登録していました。そのため、いろいろなボランティアの情報を得る機会が多くあったようです。その中にあった、やってみたいな、と思うような、日本語会話クラブ、外国につながる子どもたちの学習支援教室、広報紙の編集などに少しづつ参加するようになっていきました。次第に運営にも関わるようになると、ボランティアは現場は楽しいけれど、裏方や運営には難しさや苦労を感じることもあるようです、

ボランティアを組織する団体は大小さまざまですが、団体によって運営方法や考え方は様々だから、まず行ってみる、参加してみることで、特徴がわかっていくので、行動することをオススメする、ということでした。

 
後半はディスカッションタイム。参加者からは、いろんな質問や感想が出てきました。

『自営業の人は定年関係なく仕事が続けられる。でも会社員の場合は、会社を辞めたら、さあ何をしよう?!となる、そのとき、地域デビューやボランティアは一つの選択肢として誰もが考えるよね。』

『私自身は、役に立てるなら嬉しいという気持ちはあるけれど、「これが伝えたい!やりたい!」と強く思うものがない。だから、自分で何かを始めるなど、なかなか考えにくい。自分で自ら興そう!始めよう!というものも気持ちも全然ない、となると、今ある団体に参加する、って形になるよね?』

『ボランティアは参加しているときは楽しいけれど、運営する側に関わると難しい。運営団体の体質によっては、新しいやり方を受け入れることが難しい団体だと、関わりながらモヤモヤすることもある。』

『それまで楽しかったボランティアだが、成り行きで代表になってしまい、自分のリーダーシップにも自信が持てず、それまでの充実感や楽しさがなくなってしまった。』

『今の住まいは自分が生まれた場所でも育った場所でもない。ずっと仕事をしてきたから地域につながりなんかない。ひとりだし、これからの自分の居場所を求めたいとは思う。好きなことを活かせるボランティアに参加しているけれど、それが自分の居場所になるのかな。』

『自分でやっている活動の収支って、どうなのかな?疋田さんの場合の費用面がどうかはわからないけれど、私は、ボランティアというのは、お金をもらわない労働というイメ―ジがある思ってしまう。なぜなら私の場合のボランティアは、今までやってきた仕事の延長線上で発生することが多いから。人の役に立つならとボランティアで頼まれごとを引き受けるのだが、それに対して要求が多くなると、1円ももらっていないのになんでそこまで言われなきゃいけないの?と思ってしまう。そう思ってしまう自分がなんか心の狭い人間に思えてしまう。』

『疋田さんがやっている「つながるカフェ」って、今は疋田さんの地元、上大岡(横浜市)だけだよね?でもこういうのがフランチャイズ的に、例えば東京の中野でも、どこかの地方でも、っていう風に広がるといいし、その方法を教えてもらいながらできるというのもいいね。』

などなど、いろんな話が出てきました。いろいろやっている人でも、どこかモヤモヤする思いがあったりするんですよね。今回は人数が少ないこともあり、それぞれ、「わかる、わかる…」など、後半は活発なディスカッションタイムになりました。
 

働き続けてきて、経験豊富な定年女子だから、きっといろんな場でいろんな力を活かせるはず。それが自分のイキイキ生きていくことにつながるのであれば…。起業だけでなく、地域デビューやボランティア活動など、いろんな可能性を考えて、まずは調べてみる、参加してみる、学んでみる、ということのようです。
疋田さんからは、まず行動することを教えてもらった気がします。

ご参加の皆さん、ありがとうございました。

記:石崎公子