9/26(土)第7回「定年女子カフェ@Zoom」★人生を語り合うしゃべり会★のレポート

7回目となる「定年女子カフェ@Zoom」は、久しぶりに土曜日の夜。
人生を語り合うしゃべり会でした。

★日時★
9月26日(土)20::00~21:30

★場所★
各自のご自宅(オンラインでの参加)

★テーマ★
「私の転機」

そこそこ長く生きてきた定年女子なので、これまでいろんなことがあったに違いないはず。
9月のカフェでは「転機」をテーマに、「私の人生観を変えたこと」「私の仕事や働き方を変えたこと」についておしゃべりする予定でスタートしました。

★★★
 

◆はじめに

初参加の人も多かったので、最初に定年女子トーク実行委員会についてご紹介。そのうえで、委員会が考える「定年女子」の定義もあらためてお話しました。

◎定年女子とは◎
「定年」が気になる女性、「定年」について考えたい女性。年齢問いませんが、50代半ば~後半の方が多いです。

今回の参加者は、東京/千葉/埼玉と首都圏中心でしたが、奈良県からの参加も。全員お勤めしており(自営/個人事業主はなし)、その働き方は正規の会社員・公務員が半分、契約や非正規(アルバイトを含む)が半分でした。

平均年齢は53.9歳。意外に若いと思うでしょう? なぜなら、昨年秋の定年女子フォーラムにも参加していた20代の人がいたからでした。20代だって定年が気になるなら「定年女子」です。
ちなみにその20代を除いた平均年齢は57.3歳。当日直前に「実家の用事」で急に参加できなくなってしまった人も。老親の用事かしら。これも定年女子ならでは、です。

簡単な自己紹介をして、メインテーマ「私の転機」についてのおしゃべりが始まりました。

 

◆定年は別に決まりじゃない、と言われたのが私の転機

就職したばかりの頃、仕事があまりうまくいかなくなって病気になり、休職したときに先輩に話を聞いてもらう機会がありました。そのとき言われたのが、定年って別に決まりじゃない、もっと早く辞めたっていい、ということ。

それが私の転機と語るFさんは、冒頭に紹介した20代。大企業に就職したけど、自分で舵をとれるようになろうと思ったそうです。Fさんは、考えてみれば父は早くに亡くなり、母は病気のため50代で仕事を辞めた。先輩の話をきっかけに、病気や介護のことが気になり始め、介護や子育てをしながら働くってどんな感じだろう?と考えるようになりました。

委員会としては、まさか20代の定年女子がいるとは思ってもいませんでしたが、Fさんは自身の未来や定年が気になるから、先輩女子にいろいろ聞きたいのだそうです。

 

◆やりたいことがあるから勉強する

製造業で契約社員として働くAさんは、今春から大阪教育大学の大学院に入学しました。お母さんが60歳になる前に病気になり、60代で亡くなったそうで、自分はこのまま働いていたら何もしないまま終わってしまうんじゃないか? このまま終るわけにはいかない!――そう思ったことが、言わば転機とのこと。

3人の子どもは全員社会人になりましたが、かつては2人が不登校。転校するなど大変な時期がありましたが、下の子が高校を卒業したのをきっかけに創業スクールに通い始め、「居場所づくり」をやりたい!と強く思うようになったそうです。

さらに、やるなら専門性が必要だと考え、大学院に行き直して勉強しよう、と思ったのだとか。今は退職金もボーナスもない契約社員だけど、でもこんなことできるの今しかない。今はつかの間のご褒美の時間だ、と。

働きながらの勉強で、コロナのため授業はリモート中心。間に合わないときは、通勤中の車の中から授業に参加することもあるのだとか。昔、大学生だったときの気持ちとは全く違う。今は目的がある。やりたいことがあるから勉強する。これもやらなきゃ、あれもやらなきゃと、勉強したいことが山ほどある。もし「居場所作りをやりたい」と思わなければ今の自分はないそうです。

「来春にはNPOを起ち上げようと思ってる」というAさんの言葉は、とても力強いものでした。

 

◆転機は東日本大震災

福島出身で、結婚を機に東京に出て来たKさん。東京に引っ越してきた2日後が、あの東日本大震災でした。結婚してよかったのか、ずっと悩んでいたそうです。福島を置いてきてしまったという思いを抱え、「ラッキーだったね」と声をかけられることで心はさいなまれ、なかなか元気になれなかったそうです。

けれど、来たからには頑張らないと!と思うようになり、そこから資格の勉強を始め、学びを通じて少しずつ変わっていきました。東京には仕事が多い、いろんな人がいる、おもしろい。こっちにきて良かったんだと、ようやく思えるようになった。だから、まさに東日本大震災が私の転機です、と語りました。

現在は非常勤の公務員として高校生の就職支援をしているそうですが、福島の原発や復興の活動にも関わり、風化しないように伝えていきたいそうです。

 

◆転機はこれから?!

高齢者の在宅介護のお世話をするMさんは、地域包括支援センターにお勤め。コロナ禍で、勤務時間はシフトを少し遅めにずらし、テレワークが月に1回。
Facebookで定年女子トークのグループを見つけたのをきっかけに、これまでもときどきカフェに参加されています。コロナで飲み会も全然できなくなったのでつながりたい、と今回も参加しました。

Mさんが言うには、今までをふり返ると住む家もちゃんとあるし、これまでごはんもきちんと食べられてきた。そう考えると、小さな転機はいろいろあったとしても、大きな転機はなかったのだとか。

でも、これからはきっと大きな転機が来るだろう。だからそういう転機に対応できるような自分になりたくて、「転機」がテーマの定年女子カフェに参加したと語りました。

 

◆自営の夫が大怪我をして

製造業で事務職として働くNさんは、一度定年になり、現在継続勤務中です。働けるうちは働こうと思っているが、そうはいっても一生働けるわけじゃないから、これからどうしようと考え中なのだとか。

そんななか、ネットで定年女子トークのグループを知りました。いろいろ見ていたら、グループの中に知り合いを発見。それが、今回参加された20代のFさん。なんとNさんの息子の友人だそう?!一気に親近感を持ち、今回のカフェに初参加したと言います。これには委員会もビックリしてしまいました。

そんなNさんの転機は、東日本大震災だそう。自営業だったNさんの夫が大怪我を負ったからです。今まで選ばず受けていた仕事も、選ばざるを得なくなった。夫の入院中は、Nさんが夫の携帯を持ち歩き、夫の仕事と自分の仕事を兼務でこなしていた…。など、当時がいかに大変だったことだろうとうかがえます。

今まで自分がいかに呑気に考えていたことか。年金と貯蓄で何とかなると思っていたけれど、何ともならない。昭和の時代とは状況が違う。今さらながらそう思っていると語り、同年代の人達はそのあたりをどう思っているのか知りたい、と言います。

それでもNさんの顔には暗さがなく、力強さがありました。

 

◆コロナで雇い止め、これこそ転機

Sさんの最大の転機は、勤務していた旅行会社の雇い止め。20年以上その会社で働いていましたが、コロナで仕事を失いどうしよう…。4月の定年女子カフェでそうこぼしていましたが、そこから少し改善したことを報告したいと、今回の「定年女子カフェ」に参加しました。

このような経験をして、初めて思うことがいろいろあったようです。これまで呑気に生きてきた。根無し草で適当にやってきた。何も考えてこなかった、何も知らなかった、勉強してなかった。お気楽に働いていた。自分は遊んでばかりで、自分のことばかり考えていた。もう少し人生真面目に考えよう。あふれるようにそういう言葉が次々続きました。

旅行会社では自分は重宝されていると思っていたので、本当にショックだったそうです。まずは職を得るためにスーパーやコンビニ、本屋など、手当たり次第応募したけれど、お祈りメール(今後のご活躍を祈る)か連絡来ないかで、全然ダメ。

そういう中で、私なんかどうせダメと思いながら応募した美術館と社労士事務所の2つのパートが決まり、現在複業中だそうです。まだ働き始めて2週間と、まさに「今」の話。なんとかここまで来たことを報告したかったと語るSさんの表情は、心なしか明るくなっていました。

社会保険や労働法を全然知らない私が社労士事務所!とSさんは笑いますが、ハローワーク勤務経験のあるKさんからは、「社労士事務所って、実はなかなか入れない。ラッキーですよ。『私なんかどうせダメ』というその『私』が先方は欲しかったんだと思う。Sさんがいないと回らない、って言われるようにがんばって!」とエールが送られました。

 

◆もうすぐ定年の60歳は、最大の転機

大手企業に勤務し、ブロガーをやっているJさんは初めての参加。今まで自分の年齢を数えていなかったそうで、気づいたらあと数ヶ月で60歳!高2の子どもがいるシングルマザーで、まだまだ教育費がかかるため急に慌てて調べているところだと言います。最大の転機は、まさに「今」。これからどうなるかわからない「今」なのだそうです。

定年を意識し始めたのが3年くらい前だとか。定年後継続勤務できるが給料は7割になることは知っていて、ブログのアフィリエイト収入で稼ごうと夢見ていたけれど現実はそうはいかず、気がついたらもうあと5ヶ月。どうしよう!とFacebookの定年女子トークグループに投稿したら、先輩女子から継続勤務しながら次の準備を、と助言をもらった。65歳までにはブログで稼ぎ、暮らせるように頑張ろうと思っているとのことです。

会社では、最近異動になって全然違う仕事に変わり、もうやりたくないなあと思ってほかで職探しをしてみたら予想以上に無く、60歳でも仕事があると甘く考えていたと語りました。もはや自分で稼ぐしかない!と。

勤務先は大きな会社ですが、定年に向けての説明が全然なく、聞いてもどうもはっきりしないのだとか。福利厚生などマニュアルがしっかりしている会社なのにと、Jさんをますます不安にさせているようでした。

それを聞いたNさんからは「うちの会社も、あらかじめどこかに書いてある、ということはない。細かく書いてあるのは雇用契約書」。Nさんは3ヶ月で契約更新だそうですが、今後は70歳まで更新が可能になるようです。

これからは、情勢によっていろいろ変わっていくかもしれない、と覚悟もしておかないと。絶対コレで大丈夫、ということはどんどんなくなっていくんでしょうね。と、厳しい話も出ました。道は一つではなく、いろいろ持っておくってことがこれからは必要なのかもしれません。

 

◆年齢? いや、健康でしょ? いや、気持ちでしょ?

Kさんは、昨日会った71歳の人が「16時から回転寿司の面接がある。すごく働きたい」と言っていたそうで、とても印象的だったとか。ファーストフードやコンビニを見ていてもそうだけど、「定年女子」とかいってるけど、定年なんてもう関係ないでしょうね。定年って日本特有、70歳過ぎても全然働けるじゃん!と笑います。

その回転寿司は、企業側もぜひ来て!という会社だったことも大きいのでしょうが、要は「健康であるように見えることって大事、たとえ80歳でも。健康アピールってこれからの課題かも」という意見には、一同納得。

また、Nさんからは「健康と、あとは気持ちじゃない? 前向きな気持ちってすごく大事」との言葉が。前向きな気持ちとは、苦手だなと思ってもとりあえずやってみよう、と思う気持ちのこと。年齢と共に億劫になったりするし、もっと勉強して先のことを考えればよかったと悔やんだりもする。でも後ろをふり返ってもしかたがない。じゃあ、これから先どうやって生きてく?と考えると、やっぱり前向きな気持ちでないと。そして動くこと、ぶつかることだよね。チャンスを逃さないって大事。

これからの10年、20年、ああ、生きてきて良かった!と思えるようにするために何をするか?何ができるだろう?Nさんはそう考えながら、やろうと思うことを書き出しているのだそうです。
気持ちと健康――気持ちって大事ですね。

 

◆終わった人にならないためには

「年とっても働いている人って、人脈が重要かもよ」という話も出ました。人脈を通じた仕事は、普通に職探しするよりも、お給料も良かったりするのだとか。そこで求められるのは、長く続けてきた経験、知識。そして勉強をしている、というのもあるのだそう。「立ち止まっている人って、そこで終っちゃってる気がする」という厳しい意見も。

先が明るくなるような、前向きになる未来に向けて何かを見つけなきゃ!という声も上がりました。大学院に通い、来春にNPOを設立しようというAさんは、これをやりたい!っていう気持ちが突き動かしている感じがしました。「それが実を結ぶかどうかわからないけど、でもやりたい!」と言えるのも、明確な目的があるからこそ。

やりたいことが何もない、見つからない、見つけられない、という声もしばしば聞きます。でも本当は誰にでも前向きになれるような「何か」がきっと心の奥底にあるんじゃないかな。気づかないだけで。定年女子トーク実行委員会は、そういうものを見つけられる機会や場を提供できたらいいなと思います。

 

◆この先も、楽しむ気持ちを忘れずに

今回のテーマ「転機」。過去こんな転機があって、そのおかげで今こうなってるという話がいっぱい聞けるのかなと思っていましたが、必ずしもそうではありません。むしろ、とっても未来志向でした。

一つのことでもいろんな人の意見を聞くと、やっぱり違う。
恐ろしいから先のことを考えない、じゃなくて、恐ろしいから先のことを考えるのだ。

Nさんが、コロナ渦中に息子さんから聞いた言葉だそうです。コロナで社会が大打撃を受けている中、息子が成長しているって、母は嬉しいですね。もしかしたらこれから先、さらにひどいことが起こるかもしれない。何があるかわからないけど、楽しむ気持ちを忘れちゃいけない。生活しなきゃ、健康でいなきゃ。そう微笑むNさんの言葉は、とても力強いものでした。

想像すべくもなかったコロナ禍。この時期が、ちょうど定年を意識する時期と重なった私たち。5年後、10年後、今日参加した人達だけでなく、多くの定年女子たちが、今のこのときを大きな転機だったと思うのかもしれません。

それでも、楽しむ気持ちを忘れずに、元気でやっていきましょう!そんな言葉で、今回の定年女子カフェは終了しました。
 
ご参加の皆さん、どうもありがとうございました。