2025-05-30 / 最終更新日時 : 2025-06-05 teinenjoshi_master とくいなタイムのレポート 5/10(土)定年女子カフェのレポート 毎月第2土曜日に開催している定年女子カフェの奇数月は「とくいなタイム」を行っています。今回のとくいニストは、かねてから地域コミュニティのあり方に関心があった大川朝子さん。大川さんは、NHK-BSのドラマ「団地のふたり」が話題になる1年前に築古の巨大団地に引越して以来、毎日毎日「ここに住めて幸せ」と感じると聞いていたので、そんな団地暮らしのお話を聞かせてもらおうと、実現しました。※とくいなタイム:定年女子はみんな、豊富な経験や得意なことを持っている。その「得意」をちょこっと教えてもらう時間が「とくいなタイム」です。 ★★★★★★ ■日時:2025年5月10日(土) 1回目 13:30~15:30/2回目 16:30~18:30 ※リアルのみ開催■場所:中野区産業振興センター■テーマ:団地暮らしのススメ~ 団地暮らし、始めてみたら幸福度があがりました~■とくいニスト:大川朝子さん【プロフィール】1969年生まれ。都内出版社勤務。学生時代から現在までずっと賃貸暮らし。約2年前に都下にある築60年の巨大団地(UR)に引っ越す。働きながら2020年に社会人大学院に入学し、コミュニティについて研究、2022年に修士課程終了。現在も継続して研究中。 ★★★★★★ 大川さんが団地暮らしを始める直接的なきっかけは、長年住んでいたアパートの建て替えが決まり、急な引っ越しを余儀なくされたことでした。そもそも民芸品や古い建築物への関心が高かった大川さん。築古団地の趣に、どこか懐かしい雰囲気に惹かれたと言います。好きで通っていたカフェが、団地の中にあったことも影響したようでした。 思い切って内見して感じたのは、想像よりも開放的で、緑豊かな住環境でした。水回りなどは古いけれど、日当たりや風通しの良さ、そして何よりも静かで落ち着いた雰囲気が、大川さんの心を動かしました。元々住まいの購入は視野になく、思いがけない引越を迫られたことで、思い切ってこの団地での新生活を始めることを決意したのです。 ●心と体を癒す団地の自然環境魅力の一つに、豊かな自然環境があります。私の住む団地は、敷地内に多くの緑があり、季節の花が咲き、鳥のさえずりが聞こえてきます。窓を開けると心地よい風が吹き抜け、日差しが部屋いっぱいに降り注ぎます。特に、広々とした空を見上げたり、夕焼けの美しいグラデーションを眺めたりする時間は、日々の疲れを癒してくれるかけがえのないひとときです。会社からの帰り道、空の美しさに惚れ惚れしました。前の住まいでも空は見えたけど、意識して見ようとしていた感じ。団地は敷地が広く視界が開けているので、空が広く感じます。昔に建てられた公団住宅は自然との共存を意識して設計されたものが多く、その思想が今も息づいているのですね。団地の遊歩道を散歩したり、ベンチに座って木々を眺めたりするだけで、心が安らぎ、穏やかな気持ちになれます。 ●団地には独特のコミュニティが存在する?!以前の一人暮らしでは、近所づきあいというものはほとんどありませんでした。コロナ禍で一人暮らしの部屋にポツンと取り残されたとき、お金を払わないと誰とも話せないことに気づき、これはマズいことになると思いました。コミュニティの必要性は感じていたのです。団地には、マンションとは違った独特のコミュニティが存在するように感じます。それは、濃密な関係ではありませんが、挨拶を交わしたり、困った時にちょっと助け合ったり、何気ない会話をしたりする、緩やかで温かい繋がりです。●団地には人とつながる機会がある例えば、ゴミ捨て場で顔を合わせるお年寄りと季節の話題を話したり、共有スペースで子供たちが楽しそうに遊ぶ様子を眺めたり…。そんな日常の中で、ささやかな幸せを感じます。さらに、団地の掲示板で見つけたイベントに足を運んだり、小さな集まりに参加したりするうちに、団地に暮らす人と出会うようになりました。同じような興味関心を持つ人たちと自然に会話が生まれることもあります。自治会が主催する盆踊りやフリーマーケットにも意識して参加するように心がけています。自治会活動などがきっかけでつながっていく程よい距離感の人間関係は、一人暮らしの私には安心感も与えてくれるようです。「もし災害が起きてもなんとかなるんじゃないかな」と思えたりします。 ●一言で「団地」と言ってもいろいろ。団地は安いと思わないで!一言で「団地」と言っても、古い団地もあるし、新しい団地もある。場所もいろいろです。多くの人が団地は安いと誤解しているようですが、決してそんなことはありません。民間の相場と「同じ」。最近の団地の間取りは縦長のものが多いですが、古い団地の間取りは横長という特長があります。私が住む古い団地の間取りも横長で、そのせいで日当たりも風通しもよくなっています。また、URは部屋が空いたタイミングでリフォームします。最近リフォームされた部屋はキッチンやバス・トイレがきれいなので、リフォーム時期によって「平成型」「令和型」なんて呼ばれるんです。●築古団地の課題と未来への想い築年数の古い団地は、いいことばかりじゃありません。私の住む団地は築60年超えで、水回りなどの設備は最新のものとは言えないし、建物の断熱性が低いので冬は寒い。バリアフリーへの対応が遅れているという問題もあります。地域住民の高齢化が問題になることもありますが、最近は団地好きな子育て世代が移り住んできています。引っ越して2年経った頃、住んでいる団地の建て替え決定のお知らせが届きました。不安はありますが、新しい住環境への期待もないわけではありません。より快適で安全な住まいが提供され、新たなコミュニティが生まれる可能性もあるからです。●団地での経験を活かして~これからの私~団地での暮らしは、価値観やライフスタイルにも変化をもたようです。仕事中心で忙しい日々を送っていた以前の暮らしから、団地での自然を感じながらの穏やかな時間や、地域の人々との交流を通して、日々の暮らしそのものを大切にするようになったように思います。今後は、団地で培ったコミュニティへの関心をさらに深め、地域活動にも積極的に参加していきたい、高齢化社会における住まいのあり方や、地域コミュニティの重要性といったテーマについて、自分なりに考えを深めていきたい、などと思っているところです。 ★★★★★★ もしもいつか団地を離れる日が来たとしても、今の暮らしで得た学びや繋がりを大切に、新たな場所での生活を豊かにしていきたいと前向きな大川さんでした。大川さんの話の後は、グループに分かれて感想を語り合う時間です。 会場には、今後の住まいを検討中の定年女子、今まさにURに住んでいるという定年女子などいろいろ。大川さんからさらに話を聞きたいという興味津々の声も。他のURに住んでいるから、場所によってどう違うのかが知りたくて参加したという人もいました。子供時代に団地に住んでいた人も多く、昔の記憶が甦ってきたという感想も聞かれました。また、話を聞いて大川さんの働きかたの姿勢の変化に興味を持った方もいたようでした。終了後、とくいニストの大川さんからは、団地暮らしをしたい人が集まるのかと思ったらそうでもなくてちょっと驚いたという感想が聞かれました。 近年、話題の団地暮らし。実際に引っ越して暮らし始めた大川さんのお話は、定年女子がこれからの住まい方、暮らし方を考える上でいろいろ参考になったようです。ご参加の皆さん、どうもありがとうございました。(文責:石崎公子) ★★★★★★ 【次回の定年女子カフェ オープン予定日】 ◇2025年6月14日(土)しゃべり会テーマ:ジェネレーションギャップのモヤモヤしゃべり会はオンラインのみ(リアルなし)で実施します。皆さんのご参加をお待ちしています♪詳細はこちら